【事例】飲食業「地元野菜のカレー屋さん」の補助金活用

補助金導入の背景
大阪府内で営業する「地元野菜のカレー屋さん」を経営するA様は、地元農家から仕入れた新鮮な野菜を使用した健康志向のカレーを提供することで地域住民に親しまれる飲食店です。
しかし、新型コロナウィルス感染症の悪影響により、外食需要が減少したことで、売上が一時的に大幅に減少しました。
いままで通りの店舗経営を続けるだけでは限界があると危機感を感じたA様は、飲食デリバリー事業を開始し、地元住民を中心に新たな顧客層の開拓を行いました。
この新事業は予想以上の反響があり、売り上げの減少を食い止めることに成功しました。
デリバリーでの成功を背景に、A様はデリバリー事業の拡大をはじめ、実店舗を新設する店舗ビジネスへの販路拡大という時代のトレンドに真向から逆らった挑戦をしたいと決意し、ご相談をいただきました。
解決したい課題
1.新店舗の開設資金の確保
店舗の建物改装費や内装工事、厨房設備の購入などにかかる費用が大きなハードルとなっていました。特に新しい店舗では地元農家の野菜を活用した体験型サービスを提供するため、従来以上に初期投資が必要でした。
2.販路拡大と新規顧客の獲得戦略
デリバリーで得た顧客基盤を活用しつつ、新たな来店客を獲得するための明確なプロモーション計画が必要でした。
3.地域密着強化のアプローチ
地元農家とさらに連携を強化し、地域住民に価値を提供する仕組みを強化する必要がありました。
補助金・助成金の活用
A様は以下の内容で「小規模事業者持続化補助金」を活用し、大幅な費用削減を行いました。
1.店舗開設費用の補助
新店舗では、地元野菜をテーマにしたデザインを前面に押し出し、来店客に「地元の新鮮さ」を体感してもらう空間づくりを目指しました。
- 店内はナチュラルな木材と緑を基調にしたインテリアを採用
- オープンキッチンを導入し、調理の様子を見せることで、素材へのこだわりと安心感を伝える仕込みを構築
- 地元野菜を使用し、店舗ビジネス用に新開発したカレーメニューを作成
これらの設備投資費用(約270万円)のうち補助金を活用して約3分の2を補助。初期投資負担を大幅に軽減することができました。
2.プロモーション活動への助成
新店舗の開設にあたり、地元住民や観光客への認知拡大を目的に、以下のプロモーションを実施しました。
- SNS広告を活用し、新店舗のこだわりやイベント情報を積極的に発信。特にデリバリー顧客に向けた特典付きのキャンペーンを展開し、実店舗への誘導を促進
- 地元情報誌への広告掲載費用やキャンペーン用ポスター制作費(約30万円)も補助金で賄った
コストを抑えながら効果的なプロモーションを実施することができました。
3.デリバリー事業との連携強化
新店舗の開設に合わせ、デリバリー事業との連携を強化。特に新たに導入したPOSシステムを活用することで、デリバリー顧客の注文履歴や嗜好を分析し、来店時の特典クーポンを配布する施策を展開しました。
- デリバリー顧客の注文履歴や嗜好を分析。来店時の特典クーポンの配布
- デリバリー専用メニューを維持しつつ、店舗では店舗専用メニューを作成
デリバリー顧客から店舗への訪問率は30%に達し、新たなリピーター層を獲得することに成功しました。
4.地域経済への波及効果
新店舗の開設を通じて、地元農家との協力関係をさらに強化。季節ごとに異なる地元野菜を使用した限定メニューを提供することで、地元農家が作る野菜の安定的な販路も確保しました。
- 店内の「地元野菜マーケット」では、農家が提供する野菜を直接販売できる仕組みを構築。店舗を訪れるお客様だけではなく、生産者である地元農家にとってもメリットのあるビジネスモデルを実現
- 地元の小学校と協力して「食育ワークショップ」を開催。子どもたちに地元野菜の魅力や健康的な食生活について学んでもらう活動を展開
結果
- 新店舗オープン後の1ヶ月の売上は、デリバリー事業のみの時期に比べて1.5倍に増加!
- デリバリー顧客の30%が店舗も利用。新規顧客層の獲得にも成功!
- 地元農家との取引量が増加し、地域経済への貢献が評価され、地元自治体からも高い評価を受けました。
- 店舗での体験型サービスやイベントが話題となり、口コミで広まることでさらなら集客に成功!
経営者の声
「新しい店舗の開設は大きな挑戦でしたが、補助金のおかげで資金面の不安を解消し、安心して取り組むことができました。デリバリーと店舗を融合させたビジネスモデルが成功したのは、地域の皆様とのつながりを大切にした結果だと思います。これからも地元農家と連携し、地域全体を盛り上げていきたいと思っています。」
この事例は、補助金を活用して新店舗を開設し、地域密着型の飲食事業を成功させた好例です。新しい挑戦と地元経済との連携を通じて、安定した収益基盤を構築した点で、飲食業界の他事業者にも参考になるケースといえるでしょう。
このビジネスを成功させるにあたり、
・販路拡大に繋がる根拠は明確であるか
・その補助事業に持続的な成長戦略が見込めるのか
・その成果は定量的に算出できる計画なのか
など。本件については店舗を出したいという時代のトレンドに真向から逆らった流れでの売り上げ増を目指すため、それが本当に売上増を狙えるものであるという数的根拠を織り交ぜられる計画を立案する必要がありました。また、建物改装費は資産性が高いため、収益見込みへのチェックも厳しくしました。